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◆ 株式譲渡益課税 ◆ ■■■1、概要■■■
株式等の譲渡による所得については、他の所得と区分して「株式等に係る譲渡所得等の金額」として分離課税する申告分離課税制度を採用しています。
ここに分離課税とは総合課税(給与・年金・事業・不動産等に基づく税額)とは別に税額を計算する課税方法を言います。具体的には以下のようなイメージです。
1 総合課税による税額 ***円 2 分離課税により税額 ***円 3 1+2=納付税額 ***円
また、公社債等の譲渡については原則非課税とされています。
以上のように有価証券の譲渡による所得は、その譲渡した有価証券の種類に応じて取り扱うことになりますが、一定の上場株式等については様々な優遇規定があり、また、総合課税されるものや短期譲渡所得とされるものなどもあるため、十分な検討が必要となります。
■■■2、原則的取り扱い■■■
取り扱い
株式等を譲渡した場合の所得の金額は別課税標準により15%の税率により所得税課税(上場株式については7%の特例あり)
株式等とは何か 株式(新株予約権、株式引受権等を含む) 法人の出資者持分 新株予約権付社債 株式等証券投資信託の受益証券 特定目的信託の受益証券等
(注)公社債等証券投資信託の受益証券、社債的受益証券の受益証券は株式等に該当しない(非課税)ただし、日本以外において割引発行されるゼロクーポン債等を日本において譲渡した事による所得は譲渡所得として総合課税される。また、株式又は出資の性格を有するゴルフ会員権は譲渡所得として総合課税される。
所得金額の計算
未公開株 総収入金額−(取得費+譲渡費用+負債の利子)=譲渡損益 上場株等 総収入金額−(取得費+譲渡費用+負債の利子)=譲渡損益 上記二つの枠内で損益通算し、後に未公開株分と上場株等分を内部通算
取得費 譲渡の都度総平均法に準ずる方法により計算した金額と 収入金額×5% のいずれか多い金額 (注)譲渡の都度総平均法に準ずる方法により計算した金額の例(1円未満切上)
平成17年8月譲渡分の取得費 (1,200,000円+1,400,000円)/(2,000株+2,000株)=@650円 (3,000株×@650円+1,587,000円)/(3,000株+3,000株)=@589.5円→@590円 2,000株×@590円=1,180,000円 *相続等により取得した株式等を、相続税の申告書の提出期限の翌日から3年以内に譲渡した場合にはその相続税額のうち譲渡した株式等に対応する金額を、譲渡した株式等の譲渡所得の金額上取得費に加算することが出来ます。 負債利子 譲渡した株式等に係る借入金の利子で譲渡時までのものは株式等に係る譲渡所得等の収入金額から控除する。この場合の負債利子は配当所得の金額の計算上控除できない。
■■■3、上場株式等の特例■■■
取り扱い
次に掲げる上場株式等の譲渡をした場合には、7%の税率により所得税が課税される。 1.証券取引所に上場されている株式等 2.店頭売買登録銘柄として登録された株式等 3.外国証券市場において売買される株式等 ただし、上記株式等であっても証券業者等への売委託によるものその他一定のものに限る。
平成13年9月30日以前に取得した上場株式の取得費の特例
平成13年9月30日以前から引き続いて所有していた上場株式等(平成13年10月1日において上場株式等に該当していたものに限る)を譲渡した場合の取得費は、その上場株式等の平成13年10月1日における価額の80%相当額とすることができる。 平成13年10月1日の価額は以下のアドレスで検索できます。 ただし、ストックオプションの行使により取得した株式で非課税の適用をうけたものには適用がない。
特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税(1,000万円の非課税の特例)
上場株式等で平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に取得したもの(取得時に上場株式等に該当していたものに限る)を平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に譲渡した場合の譲渡所得のうち、その取得対価の額の合計額が1,000万円に達するまでの部分の金額については、所得税が課されません。
ただし、この規定は購入等によって取得したものに限られ、いわゆる相対取引によって取得したものは除かれます。取得対価の額とは購入対価をいい、手数料等の付随費用は含まなくてよい。また、この規定を受けるためには譲渡年の翌年1月1日から3月15日までの間に「特定上場株式等非課税適用申告書」を提出した場合に限り適用されます。
この特例は「特定上場株式等非課税適用申告書」を譲渡があった年の翌年3月15日までに提出した場合にのみ適用があり、期間厳守です。また、取得時の証券会社の取引報告書等の写しの添付も必要です。例外は一切認められていません。一度提出すると選択した銘柄の差し替えは出来ないし、追加も出来ません。3月15日までに行う期限内の訂正申告も認められないので、慎重に取り扱う必要があります。
また、この規定は相続等により取得した株式を譲渡した場合には適用がなく、特定口座の「源泉徴収口座」で売却したものにも適用はありません。(特定口座の「簡易申告口座(源泉徴収されないもの)」には適用がありますが、この場合には証券会社が発行する「特定口座年間取引報告書」を訂正する必要があります。)
特定口座内保管上場株式等の特例
特定口座に保管の委託がされている上場株式等の譲渡をした場合には、その特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額とそれ以外の株式等の譲渡による譲渡所得等の金額とを区分して、これらの金額を計算することができる。 つまり、特定口座での譲渡所得等は証券会社の計算により確定し、特定口座保管以外の株式等の譲渡による所得とは別途扱うことができる。 ただし、特定口座には、「簡易申告口座(源泉徴収されないもの)」と「源泉徴収口座」の2種類があるが、この2つは全く異なる取り扱いとなるので注意が必要です。
「簡易申告口座(源泉徴収されないもの)」
→その名の通り、取引金額・取得費・所得金額がその口座内において、証券会社で計算されるものであり、容易に所得の把握が出来る。しかし、源泉徴収がなされていない為、所得が発生する場合には必ず申告する必要がある。(損失が出ている場合にも、損失を繰越す為、一般口座の株式等に係る所得と損益通算する為、申告したほうが有利になる場合が多い。)
「源泉徴収口座」
→源泉徴収口座はその口座内の所得に基づく税額の納税が完了している為、申告の必要はない。ただし、損失が生じている場合、損失を繰越す為、一般口座の株式等に係る所得と損益通算する為等の場合には確定申告することも選択できる。(何も手続きをせずに損失が繰越されたり、損益の通算が行われることはないので、確定申告するかどうか、十分検討する必要はある。)
また、所得控除額が総所得金額(総合課税の所得)より多い場合や、定率減税の関係で、「源泉徴収口座」が黒字であっても確定申告することにより源泉徴収税額の還付等、一見有利となる場合もあるが、一旦、確定申告するとその「源泉徴収口座」の所得金額は合計所得金額に加算され(確定申告しなければ「源泉徴収口座」の所得は合計所得金額に加算されない。)配偶者控除や扶養控除の判定のをもう一度行う必要が生じたり、住民税や国民健康保険・介護保険の基礎のなる金額に加算されていくので、所得税のみで有利判定を行えないので注意が必要です。「源泉徴収口座」を確定申告すると、後で除外することは出来ませんし、逆に除外して確定申告すると後で確定申告に加えることも出来ません。事前の検討が必要です。
さらに、「源泉徴収口座」の所得を確定申告する場合、住民税である「株式等譲渡所得割額控除額」を必ず、確定申告書の2表の右下、住民税欄の「株式等譲渡所得割控除額」に記載します。(その申告によりその「源泉徴収口座」の所得が住民税の課税対象となりますが、前もって源泉徴収されている住民税があるわけですから、その旨を申告しておかなければ2重に住民税を払うことになります。)
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
上場株式を譲渡したことにより生じた損失の金額のうち、その譲渡年分の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分の金額は、申告を要件に、その損失の生じた年の翌年以後3年間にわたって繰り越し、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除できる。
注意! この特例は上場株等に限られ、証券会社等を通じた取引によって生じたものに限られる。(よって、非上場株等を譲渡した場合には譲渡損失の繰越控除の適用はない。
「申告を要件に」とあることから、確定申告書の提出が必要であり、その場合には、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」のほかに「平成 年分の所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の繰越用)」が別途必ず必要となる。くどいようだが、申告書の添付が無い場合には適用がないので、損失を繰越す場合は必ず確定申告書に付表をつけて申告する必要がある。(本年度、株式等と取引がなかったため、繰越損失の付表を添付せずに確定申告書を提出した場合には、繰越期間内であってもその繰越金額は消滅してしまう。)
■■■4、特定中小会社の株式の特例■■■
趣旨
特定中小会社とは次の要件を満たす株式会社などをいい、いわゆるベンチャー企業に対する投資の促進を図る観点から、税制上の支援措置がとられている。 設立から5年以内で、前事業年度における試験研究費等の収入金額に対する割合が3%を超えていること。 設立から5年超10年以下で、前事業年度における試験研究費等の収入金額に対する割合が5%を超えていること。 設立から1年以内で常勤の研究者の数が2人以上で、かつ、その研究者の数の常勤役員および従業員数の合計額に対する割合が10%以上であること。 その株式が上場されていないこと その他一定の要件
取得に要した金額の控除
平成15年4月1日以後に、特定中小会社の設立の際に発行された株式又はその設立の日後に発行されたその特定中小会社の株式(以下「特定株式」という)を払い込みにより取得した場合には、申告を要件に、その特定株式の取得に要した金額の合計額をその年分の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除できる。 ただし、この規定により控除した金額は、後日この特定株式を譲渡した場合の譲渡所得の計算上、取得価額から控除しなければならない。つまり、いわゆる課税の繰り延べ制度である。
価値喪失損失の特例
特定株式等を払い込みにより取得した場合において、その株式がその特定中小会社の設立の日から上場等の日の前日までの期間内に解散・清算の完了、破産宣告を受けた場合は、申告を要件に、その損失の金額は、未公開分の譲渡損失とみなして、その年分の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除できる。つまり、特定株式以外の株式等についてその発行会社につき解散等が生じて、価値喪失損失が生じてもなんら考慮されないが、特定株式等については上記のような優遇規定が設けられている。
特定株式に係る譲渡損失の繰越控除
特定中小会社の設立の日から上場等の前日までの期間内に払い込みにより取得した特定株式を譲渡したことにより生じた損失の金額および所定の価値喪失損失の金額のうち、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分の金額は、申告を要件に、その損失の生じた年の翌年以後3年間にわたって繰り越し、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除できる。
譲渡益の課税の特例
特定株式を平成12年4月1日から平成19年3月31日までの間に払い込みにより取得したものが、その特定株式等を譲渡した場合において、次の区分に応じそれぞれの要件を満たすときは、申告を要件に、その譲渡による株式等に係る譲渡所得等の金額は1/2相当額とする。 上場等の日前に譲渡した場合 譲渡の日における所有期間が3年を超えていること 上場等の日以後に譲渡した場合 譲渡の日における所有期間が3年を超え、上場等の日以後3年以内に譲渡したこと (証券業者への売り委託に基づくもの又は証券業者に対するものに限る。)
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